看護師の業務である診察の補助行為について、どこまでが補助行為として見なされるのか迷う人は多い。そのため、医師の指示を受けた場合、看護師が予防注射を実施しても良いのかという疑問を持つ人も多い。
結論から言えば「YES」だが、その際法的な要件を満たしている必要がある。

まず、補助行為の施行は医師が自ら実施できる行為で、尚且つ医師の指示によるものというのが必須条件だ。ただし、注射行為は「保健医療機関及び保険医療養担当規則」の第二十条に、注射以外の治療による効果を期待することが困難であるとき、という制約を始めとした要件が書かれている。つまり、医師の厳正な監視下で実施する必要がある。

しかし、この「医師の監視下」に関する疑問を抱えている看護師も多い。例えば、医師の不在時に注射の指示を受けた場合はどうなるのか、ということだ。
これに関しては、医師が居合わせているかは問題では無い。
「監視下」というのは医師の直接的な監視ではなく、医師が十分な情報を得ている上で、的確な判断による指示をしている状態を指す。仮に医師がその場に居ない場合でも、患者の状況報告を受けて正確な判断ができる場合に限り、看護師に予防注射の指示を実施させることは可能だ。
それと同時に、医師を通じて患者に療養上の注意を伝達することもできる。

もちろん法的な条件を満たしていない医療補助は違法行為となってしまう。医師の指示が的確なのか判断できるよう、看護師も医療行為に関連する法律を正確に把握しておく必要がある。